皆さま、こにちは。牧歌ブリ吉でございます。
4月20日は、シャングリラ・ホテル東京にて、ミシュランスターシェフのギャリ―・ローズ様をお迎えする機会に参加して参りました。
実はブリ吉、ローズ様が料理番組に頻繁に登場し始めていた90年代初頭に、ローズ様宅の近所に住んでいました。週末に車で出掛けると、「あそこがギャリ―・ローズの家だよ」と妻が教えてくれても、「何?名古屋グランパスに行ったギャリ―・リネカー以外にも人気のあるギャリ―がいるのか?」という程度の認識でした。しかし、ローズ様のテレビ番組に触れるにつけ、ローズ様の料理と人柄に興味を持つようになりました。
日本では当時「料理の鉄人」が大人気でしたので、ローズ様を日本で同番組に出演して貰おうとか、紹介しようという話も出て来て、航空マンだったブリ吉も一役買う意気込みだったのですが、日本の料理番組のプレゼンのスタイルは、理知的で諭すように教えてくれるローズ様のプレゼンとはちょっと違うものでしたので、当時の日本にローズ様が来る機会はとうとう得られませんでした。日本のスタイルは料理のコンペ・ショーであって、ローズ様の番組はと言えば、哲学的な含みを持つ料理を優しく丁寧に教えてくれる教養番組というべきものという印象を受けていました。
今回は生のローズ様にお目に掛かかれたので、直接質問をしてみました。
ブリ吉「一般的に言える範囲で結構ですから、料理のプロとして、ローズさんの工夫や思い入れを教えて下さい」
ローズ氏「まあ、僕が口にしたところで、誰にも真似はできませんよ。と言うのは、もちろん冗談です。誰にでも出来る大事な点は、もともとおいしい食材を美味しく頂こうという意識が必要なのです。何が一番旨いか。そのひとつとして挙げられるのは、旬の食材です。日本の皆さんも旬を大事にされますね。しかも、旬の期間にも食材は変化しますから、調理の仕方も工夫します。例えば、アスパラガスの季節でしたら、どういう茹で方が一番おいしくなるでしょうか? 香りは? 歯ごたえは? テクスチュア(食感)は? 味は? 主菜とのバランスは? 最終的にお皿に載せる時に美味しく仕上げるにはどういう行程で何をしたらいいか。アスパラを茹でるだけでも、いろいろな作業と行程を工夫するわけです。どれか一つでも足らないと、それは僕の料理ではありません」
ブリ吉「貴方の料理番組を観てから、英人の義理の母のブロッコリーが美味しくなりました。彼女の料理は元々美味しいのですが、温野菜の茹で方がとてもイギリス人でした。(笑)でも、90年代にローズさんは英国の主婦たちの茹で野菜の意識を変えたと私は思っています。その後、どの家庭に招かれても茹で過ぎた温野菜は無くなりました。普通、絶滅は残念なことですが、この変化は嬉しかった」
ローズ氏「ありがとう。それはテレビで訴えてきた甲斐がありましたね。料理のひとつのアイテムが美味しくなると、人間には向上心が生まれます。では、次の機会には、この皿の上に乗っているこれも美味しくしようと言う気持ちにもなりますからね。主菜ばかりに目が行っても、副菜が美味くないと全体がぼやけてしまうこともあります。完璧な料理とは全体とのバランスなのですが、その均衡点を見い出すことに我々シェフは力点を置いているのです」
インタビューはもっと続いたのですが、今回はここまで。
ローズ氏と話していると、ドルチェやスゥイーツは幾何学と数学。そして、セイヴォリーな料理は哲学に通じているように思えてきます。
【英国大使公邸吉田シェフとギャリ―・ローズとのツーショット。昨年、吉田シェフはローズ氏から多くの薫陶を受けました】
植物であれ、動物であれ、他の生命を丁重に扱う作業の場が厨房であり、その尊い命を口にする人々の身になってお皿の上で、その想いや技術を開花させる一連の行為が料理と言うのかな、と。
ローズ様と話しながら、そんなことを感じていました。
以上、ブリ吉でした。
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