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イギリス美食の旅「Rhodes Across TOKYO」にて

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みなさんこんにちは、ブリ吉です。

去る4月25日、お招きを受けて、ギャリー・ローズ氏の料理を頂いて参りました。

 


ローズ氏は1987年頃に、ミシェランの星を授与し、既にテレビの料理番組で活躍していたことを覚えています。
当時の英国では料理番組など稀でしたのに、ローズ氏の料理パフォーマンスとその技術は、当時英国料理をバカにしていたブリ吉の目を引いたのです。

おいしい料理には、細かい配慮の積み重ねであったり、完成のイメージから行程を遡る想像力の緻密さであったりすることが感じられるものですが、ローズ氏の料理はそんなレベルは簡単に凌駕していて、一度に100人からの人々にまったく同じ標準の食事を提供するのですから、それは単に心のこもった料理ではなく、やはり高度な技術に裏打ちされた最高級シェフの料理と言うべきなのですね。

ご招待頂いた当日、5コースの最初に出されたのは、メニューにはないものでした。つまり、6つのお皿の最初。

 


カップの中が少し泡立っていて、スフレっぽく見えるのにスプーンがない。そうか、飲むのか。…と気付いて、チビリと啜ると、…やや強めの酸味。もう一度啜ると、「あら、意外とさわやか」という声が周囲から。ブリ吉も同意見で、酸味の正体はトマトだと思います。軽いクリームで仕立てて、食前の清涼感を出すスープでした。あたかも神社参拝前のお浄めのように、口の中が清々しくなり、食欲も沸いてきました。

そして、メニューの最初のお皿は、
<濃厚なフォアグラのテリーヌ 林檎、スパイス香る野菜マリネと共に>

という邦名でしたが、英語からは、これが英国料理の発想であることがよく判ります。
Rich Duck Liver Terrine with Apple and Piccalilli 

 


テリーヌとは、土壌層を幾重にも積み上げた大地を現わすTerraを語源としているだけに、見た目もレバーのペーストを三層にしたものです。ゼリーコーティングされているのは、一度に大量に作るための乾燥対策と口当たりの良さを増すためでしょう。レバーのペーストも2種類に分かれていて、上下の薄い二層がフォアグラに近いレバー、そして中心部がレバーの赤身部分を入念に漉したものでした。

テリーヌ上には、サイコロ状に模られた小さな林檎のコンポットたちがチョコンと居座り、カリカリに焼かれたベーコンが赤レタスのフリして斜に構えています。お皿の中心には、仄かにスパイスの香りのする野菜マリネが、英国伝統のピカリリとして銘打たれています。

酸味が優しく感じる料理は、和食でも職人技と言われるほどですから、このピカリリの漬けこみ時間と漬け汁が気になります。

最初の一口はテリーヌのみをパンにつけてパクリ。
レバーの豊かな香りと心地よい舌触り。
顔がほころびます。

次からはコンポットを載せたり、マリネを載せたりしてもテリーヌの味は負けていません。
滑らかで雑味の残らぬレバー料理ってあるんですね。


ここで、ワインがサービングされました。

2010年もののRiesling Silberberg, Rally Gassmann

ブリ吉はワインに詳しくないのですが、フルーティでこれもやや酸味が強いものでした。この種の味なら、なぜ英国産を使わないのだろうか、という疑問が湧いてしまいましたが、出所を聞いて納得しました。1698年創業St.Jmaes`s streetにある王室御用達のワインショップ、Berry Bros.& Ruddが提供したものだそうです。

コースの2つ目は、
<デヴォン州風 蟹ラザニア 蟹ビスクソースと共に>
Devonshire Crab Lasagne with Crab Bisque Sauce

 


イタリアのラザニアも、フランスのビスクソースもデヴォンにあっては蟹風味にされて英国仕様ということでしょうか。
デヴォン風ということで、大いに英国を堪能した気分になれました。
一番下にはフォンで湯がかれたであろうポテトの円盤が敷かれていました。

コースの3つ目は、
<ヒメジフィレのポワレ、鴨肉とエシャロット入りマッシュポテト、クリスピー鴨肉、葡萄とタラゴンバターソース>
Seared Fillet of Red Mullet, Duck Champ Potatoes, Duck Crackling, Grape and Tarragon Butter sauce

 


フォンで炊かれた白身魚のヒメジ(スズキ科の小型魚)のポワレは少し焼きも入っていて、身がしっかりしていました。週一の頻度で築地場内に足を運ぶブリ吉は見たことはあるものの、ヒメジという魚は食べたことがありませんでした。鯛よりも身がしっかりしているので、鯛より小さくても、生前はきっと力持ちだったのだろうと想像します。

ソテーしてから細かくされた鴨肉と一体化したChamp Potatoes(アイリッシュ風マッシュポテト)もバランスの取れたコンビで、粗目に刻まれたエシャロットの使い方はポテサラに応用できるな、と考えながらフォンと魚とマッシュを混ぜて口に運びましても、すべての食感と風味が充分楽しめました。

薄くカリカリに焼き上げられた鴨肉のジャーキーは塩加減が少々強い気がしましたが、魚のフォンの出汁に合わせたアクセントであろうかと思われます。Champだけに、英国のお隣アイルランドの伝統食コルカノンを思い起こさせる料理でしたが、ここまで融合に成功したのは英国人のローズ氏のお手柄です。

ここで、もう一種類のワインのサービング。

2011年もの、Meursault, Camille Giroudです。
カミーユ・ジル―は聞いたことがありますが、飲むのは初めてでした。
口当たりがよくシャブリのようだと言うと、臨席していたカナダ人のジャーナリストに「全然違うよ」と叱られました。
ブリ吉にワインを語らせてはなりません。笑! 
因みにこちらも、王室御用達Berry Bros.& Ruddからの提供品です。

さて、コースの4つ目はお肉です。
<牛フィレのロースト ステーキと腎臓入り肉団子 オニオンキャラメリゼ>
Roasted Beef Fillet with Steak and Kidney Dumpling Caramelised Onions

 


日本語で腎臓と言うと何やら妙な感じですが、英国では「ステーキ&キッドニーパイ」という料理があります。英国のガストロ・パブなどではお馴染のメニューですね。ローズ氏はステーキとキッドニーとをパイ皮の中から解放し、それぞれ別々に調理して、食べる本人の好みに合わせて口に運んで頂くという手法を取られたわけですね。参加者の皆様からは「少し塩がキツイのでは?」という声も聞こえてきましたが、それも参加者ご本人の微調整により、付け合わせのほうれん草や肉だんご上のキャラメリゼをフォークに載せる分量で、塩加減は可能でした。むしろ、個人個人に微調整を任せるからこそ、美味さは秀逸なものになったのではないかと思います。最初から最後まで同じ味のままついつい単調になりがちなキッドニーパイよりも、ステーキを中心にして、濃厚な味わいのキッドニーの肉団子と他の付け合せと共に洗練された味わいを楽しめる仕組みになっていました。

最後に、デザートです。
<アフター8ダークチョコレート コーヒー・シャーベット添え>
Dark Chocolate “After Eight” slice Coffee Sorbet

 


After 8とは言わずもがな、古くはRowntree's社に開発され、現在はネスレ社が販売する薄手のミントチョコのことです。英国の典型的なデザートチョコですね。この日のローズ氏の最後の出しモノとして、チョコレートブラウニーの出で立ちで古くからの英国スタイルを採ったダークチョコレートとコーヒー・シャーベットという目新しさが融合された英国の温故知新の姿勢が、形と味に調えられた一品だったのではないかと思います。

最後に頂いたポルトには、参加された100名のお客様のどよめきと溜息が漂っていました。
こちらもBerry Bros.&Rudd社の提供品です。

 


終わり良ければ、すべて好し。デザート良ければ、すべて好し。(ブリ吉)

ブリ吉はローズ氏と3つの共通点(スパイキー・ヘア、同年令、そして同時期に同じ場所に棲んでいたこと)を持っているので、是非お話ししたかったのですが、今回、その機会は得られませんでした。

そして、意地悪な質問も思いつきました。もちろん、答えが判っている質問もありますが、ローズ氏の反応を見てみたいですし、その表現の仕方に興味が湧きませんか?

「本日の料理をフランス料理として出すことは可能でしょうか?」
「英国料理を全く知らない人から見れば、フランス料理と言っても判らなかったのでは?」
「本日の料理は日本人を意識した塩分量だったのでしょうか?」
「今日はなぜ英国ワインではなく、フランスのワインを使ったのですか?」
「ところで、和食の出汁について、どんな印象、どんなお考えをお持ちですか?」
「ヒメジのフォンには何を使いましたか?」

ローズ氏は確固たる料理哲学を持っている人物なので、この手の質問でも真摯に、且つ適確に答えてくれると思います。機会があれば、いずれ伺ってみたいと思います。いつになるか判りませんので、答えを知りたい人はずっとブリ吉をフォローしなければなりませんね。笑!

今回、ブリ吉がこのような経験が出来たのも皆さまのご支持のお蔭です。
ご馳走さまでした。心から御礼申し上げます。

ブリ吉

<写真提供:ブリ子>

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