牧歌ブリ吉です。
毎回、拙記事がアップされるたびに、あるSNSでこのウェブを紹介しているのですが、ある友人から「英国版タ〇リ倶楽部みたい」と言われました。確かに少々マニアックなテーマばかりかもしれませんですねえ。まあ、オジサンの趣味なんでご勘弁を。
で、今回もマニアックなテーマで、それもロンドンの川です。川と言っても、テムズ川ではござんせん。
ロンドンのウェスト・エンドにはメイフェアという五月祭りのような名前の地域があります。その語源となった祭りを行った場所がShephered Marketというところで、ここは元々が川の淵だったんですね。
Shepered market周辺の通りはよく見ると、真ん中が窪んでいます。これは埋沈河川の跡に出来る街路です。下の画像でも道の真ん中に帯のように一本の長方形のブロックが敷き詰められています。これは地下に空洞があるときの工法のひとつです。
メイフェアは、元々は現在のピカデリーサーカスに在った市場街だったのですが、祭りの際のあまりの混雑に移転を余儀なくされ、現在は駐英日本大使館の裏手辺りにあった川の淵の集落で祭りを開催することになって拡大した街です。そこは17世紀の中ごろにまでに、羊の屠殺場と市場としてシティの西側に街を形成しました。屠殺場が出来た理由は水の利、つまり、川の淵があったからです。
その川はTyburn(タイバーン)川と言います。
現在のOxford Streetは、以前Tyburn川沿いにあったのでTyburn通りと呼ばれていました。その当時Tyburn川もあるモノを洗い流すために使われていたのですが、17世紀にOxford侯爵がメイフェア界隈を再開発した機会に、通りの名前を変えたという経緯があります。
あるモノとは、死刑で斬首された人間の血です。Oxford street沿いにある現在のジョン・ルイス百貨店近辺が、Tyburn川の流れるルート地点であり、且つTyburn言えば、処刑場を意味しました。
この再開発の際に、川の上に蓋がされ、一直線のOxford streetに交差する川は見えなくなりました。また、Oxford Streetの最西端である現在のマーブルアーチ近辺に刑場は移設され、処刑方法も斬首から吊るし首という残虐性を軽減(?)した方法に変わり、Tyburn通りもOxford streetと名を変え、現代の区画の基礎が出来上がりました。
実は、この川はロンドンのど真ん中で今でも目にすることが出来ます。
その場所はここ、地下鉄 Bond Street駅から徒歩20秒です。
このGraysの建物の左の道はSouth Molton Laneで、かつてはタイバーン川と並行して流れる支流でしたが、都市化が急速に進んだ200年ほど前に石畳などで蓋をしてしまったのです。因みに、明治神宮に通じる東京の表参道と交差する渋谷川も東京五輪の頃に蓋をされ、今ではキャット・ストリートと呼ばれていますが、構造的にはTyburn川と同じものです。
で、このGraysはThe Mewsという建物と隣接していて、どちらも常設のアンティーク・マーケットになっています。東西に走るOxford StreetのBond Street駅の辺りで南を向くとすぐにお判り頂けると思います。
http://www.graysantiques.com/
でで、魅力的なのはここに陳列するアンティークばかりではございませんのです。
The Mewsを買い取った骨董好きのお金持ちが、常設市場を作ろうと地下を掘りだしたら、出てきてしまったのです!・・・・Oh! 水が!Tyburn川のお水です。
で、洒落っ気のある英国人らしく、地下2階の深さにこうして小川を引いちゃったわけですね。これは2007年頃の画像ですが、現在は憎たらしいくらい肥えた金魚が大量に泳いでいます。どうやら、水が過栄養のようですね。
タイバーン川に興味をお持ちでしたら、次回にまた深くご案内しますわよ。
あら、キャラが変わって来ちゃったかしら・・・。たぶん、最近、英人女性の著書を和訳しているせいなのよ。困っちゃうわぁ、ブリ吉。
ランキングに参加しています。ポチっと一押しよろしくお願いします!
日本語でイギリスの情報満載!