牧歌ブリ吉の子供たちが小さかった1990年代、東サセックス州のAshdown Forestは近所でしたので、家族でよく散歩を楽しんでいました。
プー・スティックは、橋の上流側から小枝を落とし、下流に早く流れてきた方が勝ちというゲーム。
でも、誰の落とした小枝であるか、すぐに判らなくなります。
プー・ブリッジまではパブリック・フットパスで。
92年ごろのことだったと思いますが、名所のプ-・スティック・ブリッジに家族で向かっている途中で、一人の日本人のお嬢さんに声を掛けられました。とても勇気を振り絞ったのでしょう。彼女は消え入りそうな声を発しました。
「あのっ!プー・ブリッジに行くにはこちらで良いんでしょうか?」
「そうですよ。僕らもそちらに行くので、ご一緒しましょう。でも、よくここが判りましたね。車はどこに駐車されたんですか?この辺は観光の村の筈なのに、駐車場が整備されてませんから不便だったでしょう」
「私、タクシーで来ました」
「なるほど、最寄のEast Grinsteadの駅からですか」
「いえ、ロンドンのホテルからです。そして、そこのアフタヌーン・ティの店の前で待って貰っています」
「ええ?ロンドンからここまで50㌔くらいありますよ。凄い料金じゃないですか」
「はい。でも、私、どうしてもプーさんのブリッジが見たくて…」
大人も楽しむプー・スティック。たまには童心に戻りましょう。
そんなにまでして、クマのプーさんの場面に来たいなんて、ちょっとマニアックな趣味をお持ちなのかなあ、と思いましたが、当時のブリ吉は旅行業界に居たこともあって、こうした様々な需要があっても当然かもしれないと妙に納得したものです。
Ashdown Forestは広大なカルスト台地を利用した牧畜と麦畑が見渡せます。
観たいものや、体験したいもの、あるいは本人にとって掛け替えのないもののために、こういう旅費の使い方もありなんだな、としみじみした気持ちになりました。
ノックノック。プーさんお留守ですか?
後日、そのお嬢さんから、ブリ吉が当時勤めていた旅行会社にお手紙を頂きました。今回、最大の目的のひとつが達成できた喜びと、ブリ吉が案内したお礼でした。そして、その後湖水地方にも行ってベアトリクス・ポターの世界にも浸ってきたそうです。因みに、湖水地方には、ツアーバスで行かれたそうです。
今日、Ashdown Forest周辺は、観光地としてかなり整備が進んできました。ロンドンを拠点にしても、少し足を伸ばせば、日帰りできる範囲です。